生理痛
生理痛とは?
思春期の女性のからだの中では、排卵とあわせて子宮の粘膜に変化が起こります。卵巣は卵胞内で卵が成長している間に、脳下垂体前葉から刺激を受けて、将来の妊娠に備えて子宮の内膜を厚くします。このとき、排卵された卵が受精されないと、子宮の内膜は外に排出されます。これがいわゆる月経です。生理痛はこうした月経が始まる時や、人によってはその1週間位前から起こる不快な症状で、このつらさは女性にしかわからないものです。下腹部の痛みや腰全体に広がる痛み、頭痛など発生する症状やその程度には個人差があり、一概にはいえませんが、この個人差はホルモンの変化や精神的なものが引き金となって起こると考えられています。
生理痛の起こるメカニズム
生理痛にはいろいろなパターンがあり、子宮や卵巣に病気のない場合では、月経にともなうホルモンの変化や心理的な要因などが影響していると考えられています。まず月経時には、分娩のときに陣痛を起こさせるプロスタグランジンというホルモンが分泌されますが、このホルモンが子宮の筋肉を収縮させて下腹部痛などをひき起こす場合があります。 また、とくに若い女性の場合、月経を必要以上に不快なもの、わずらわしいものとして、マイナスのイメージでとらえることによって症状が重くなることがあります。この他に、子宮頚管が狭いため月経の血を押しだす際に起こる子宮収縮や、子宮周囲の組織の充血やうっ血なども原因としてあげられます。
月経困難症
- 月経時の痛み、不快な症状
- 月経時にともなう痛みがとくに激しく、家事や仕事などの日常生活にさしつかえるような場合を月経困難症といいます。その多くはホルモン分泌のアンバランスや精神的なものが原因となって起こり、下腹部痛、腹痛、頭痛や吐き気、下痢、発熱、だるさ、イライラなどの症状がみられます。ただし20代後半以降の人で、それまでになかったほど重度の生理痛が起きた場合は、子宮の病気が関係していることも考えられますので、注意が必要です。
月経前症候群(PMS)
- 月経の前に調子が悪くなる
- 成熟期の女性に多くみられる症状。月経がはじまる約1週間ほど前から、不快な症状があらわれる場合があります。これは月経前症侯群と呼ばれ、乳房の張りや痛み、頭痛、下腹部の張りや痛み、手足や顔のむくみ、下痢、肩こり、不安、イライラなど症状はさまざまです。原因ははっきりとわかっていませんが、ホルモンの変化や体内のマグネシウム、ビタミンB6等の不足などが指摘されています。
生理痛のケア
- まず安静を
- 生理痛の症状を軽くするためには、安静が第一です。ゆっくり休息することで、痛みの反射を誘発するストレスも少なくなります。仕事などで休みがとれない場合には、無理のないスケジュール管理をするとともに、アルコール類の摂取をひかえるなどの配慮を心がけてください。
- ゆったりと入浴を
- 入浴は生理痛をかかえる人にとって、不快な気分をやわらげてくれるやさしい味方です。からだをあたためて血行をよくするとともに、精神的にもリラックスできます。ポイントは、ぬるめのお湯にゆったりとつかること。心身をいやし、リフレッシュさせてくれます。
- 薬の服用を
- 痛みが比較的軽い場合は、通常の鎮痛薬を服用して痛みをやわらげるとよいでしょう。ただし、子宮内の筋肉の収縮によって腹痛を起こしている場合には、子宮の収縮を緩和するはたらきのある鎮痛鎮痙剤を服用する必要があるかもしれません。詳しくは専門医や薬局・薬店に相談することをおすすめします。