骨粗鬆症
骨粗鬆症とは?
骨の質と量が低下して骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態を「骨粗鬆症」といいます。骨粗鬆症になると、くしゃみやつまずいて手をついたといった程度でも簡単に骨折してしまうことがあります。骨粗鬆症による骨折は、高齢者の寝たきりの原因にもなっており、予防や対策が重要とされています。
- 骨量は20代がピーク
- 骨量は成長期に一気に増え、20歳前後で最大骨量に達します。その後40歳半ばごろからは骨量減少がはじまります。小柄な女性ややせている女性では、カルシウムの蓄積量が元々少なく、筋肉量や骨量の多い男性に比べて相対的に骨粗鬆症リスクが高くなります。また、家族歴もリスク要因となり、親が骨粗鬆症や骨折経験がある人も注意が必要です。
骨粗鬆症の原因の一つとして、過度なダイエットが指摘されています。思春期に食事抜きなどのダイエットをすると、将来の骨粗鬆症リスクを高めてしまいます。骨の健康は、子どものうちから守ることが大切です。
- やせ型の人や閉経後の女性は骨粗鬆症になりやすい
- 年齢とともに誰でも骨量は減っていきますが、骨粗鬆症は、特に閉経後の女性に多い病気です。女性ホルモンの一つであるエストロゲンは、骨形成を促すとともに、骨からカルシウムが溶け出すのを防ぐ働きがあります。女性は閉経によってエストロゲンの分泌が激減するために、骨をつくる働きより溶かす働きの方が強くなってしまい骨粗鬆症になりやすいのです。骨粗鬆症は痛みなどの自覚症状がないことが多いため、40歳頃からは定期的に骨密度検査を受けるなど、骨量を測っておくことが大切です。
そのほか、過度の飲酒、喫煙習慣、かたよった食事、運動不足なども骨粗鬆症を招きます。骨粗鬆症は、男性でも起こりうる病気ですから、誰にとっても油断は禁物です。
骨のできるしくみ
- 骨はカルシウムの貯蔵庫
- 私たち人間のからだの中にあるカルシウムの量は、体重の約2%にもなります。つまり体重60kgの人なら、なんと約1.2キロのカルシウムがからだの中にあるわけです。このうちの99%は骨や歯の中に存在し、残りの1%は血液中に含まれています。血液中に含まれるカルシウムは、筋肉や心臓、神経などの活動に欠かせない成分であるため、いつも一定の濃度に保たれています。しかし、食事などから摂取するカルシウムの量が十分でない場合は、カルシウムの貯蔵庫である骨を溶かして血液中のカルシウム濃度をカバーすることになります。こうしたしくみにより、カルシウム不足が続くと、骨粗鬆症の原因になります。
- 骨はつねに生まれ変わっている
- 骨は、まずタンパク質の一種であるコラーゲン繊維が生成され、そこへカルシウムを中心としたミネラルが石灰化することで完成します。つくられた骨は絶えず新陳代謝をくりかえし、古くなった骨は骨をこわす破骨細胞によって血液中に「溶出」され、同時に新しい骨をつくる骨芽細胞によって「形成」されていきます。カルシウムの摂取不足などよって骨の「形成」が「溶出」に追いつかなくなると、全身の骨の量・密度ともに少なくなり、骨の内部に無数のすきまができてしまいます。その結果、骨が折れやすくなるのはもちろんのこと、変形しやすくなるため、神経痛や慢性の腰痛などの原因にもなってしまうのです。
骨を応援する生活習慣
- カルシウムの多い食事を
- カルシウムは口から取り込む以外に補給できない成分です。したがって毎日の食事ではカルシウムの豊富な牛乳や乳製品、または小魚類などをとることを心がけ、骨のための「貯蓄」をコツコツとしておきたいところです。また一日に数時間でも日光を浴びるようにすることでで、カルシウムの吸収を高めるビタミンDが合成され、補給したカルシウムを効率よく骨の健康に役立てることができます。
- 運動の習慣をもつ
- からだを動かして骨に適度な刺激を与えてあげると、骨をつくる細胞が活性化し、カルシウムと結合しやすくなります。若いときに運動しておくことが望ましいのですが、年をとってからでも歩ける距離は車や電車などの交通機関にたよらずに歩いたり、速足で散歩するなど、適度な運動を習慣づけることはとても大切です。
- 吸収率の高いカルシウム剤の服用を
- 食事などで補給するカルシウムは体内で吸収されにくいものも多く、十分にとっているつもりでも、意外に効率が悪いことがあります。食事面では、カルシウムとその吸収率を高めるビタミンDをしっかりとりましょう。骨の健康が気になりはじめたら、医薬品のカルシウム剤もオススメです。服用の際は、なるべく吸収率の高いものを選びましょう。
- コラーゲン生成を助ける栄養素をとる
- 骨を強くするには、骨密度だけではなく、「骨質」も大切であることがわかってきました。骨質はコラーゲンとたんぱく質によって強化されます。良質なタンパク質、コラーゲンの再合成に必要なビタミンC、骨の形成や骨質の維持に必要なビタミンKを十分とるようにしましょう。そのほか、マグネシウム、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸なども大切な栄養素です。