痛風
急激な運動、仕事後のアルコールでのストレス解消も「痛風」のもと!?
「痛風」とは?
突然、足などの関節に激痛が走る、これが「痛風」の発作です。もっとも多く発症するのが親指の付け根で、ほかにも足の甲、くるぶし、アキレス腱などにも痛みが出ます。最初の頃は鎮痛剤で症状はおさまりますが、治療をせずにほうっておくと1〜2年以内にふたたび発作が起こり、次第に発作までの間隔が短くなってきます。
「痛風」のメカニズムは?
一般的に、「痛風」の発作は血液中に尿酸という物質が増えてしまうことによって起こります。通常は溶けている尿酸が結晶になり、体の関節などに沈着するため激しい痛みを起こすのです。尿酸はプリン体という物質が分解されてできるもので、健康な人が蓄積する尿酸は常に1,200mg、その半分以上が毎日入れ替わり、残りは汗、便、尿といっしょに排泄されます。血液中に尿酸が増えてしまう理由は(1)体内でつくられ過ぎる(2)排泄がうまくいかず体内にたまってしまう、いずれかの理由で生産と排泄のバランスがくずれるためと考えられています。
尿酸値の基準値は?
尿酸値の平均値は年齢や性別によって多少の変動がありますが、男女ともに7.0mg/dl以上になると「高尿酸血症」と診断されます。尿酸値が高いからといってすぐに「痛風」の発作がでるわけではありません。高尿酸の状態をそのままにしておくことが一番の問題で、「痛風」発作のほかに高血圧や糖尿病、高脂血症などの合併症、さらには排泄しきれない尿酸が腎臓にたまって腎臓結石や腎障害などをひき起こすケースもあります。ひじ、ひざ、かかと、手足の甲、耳などに痛風結節(尿酸の結晶がコブ状になる状態)をみつけたら、痛みがなくてもすぐに病院を受診しましょう。
「痛風」になりやすい人は?
1.食事の偏りがちな人
尿酸のもととなるプリン体を多く含む食事「高プリン食」、脂肪分やタンパク質の多い食事「高カロリー高タンパク食」を好む人。
2.アルコールをたくさん飲む人
アルコールは尿酸をつくりやすくし、排泄を抑制するため注意が必要です。
3.肥満の人
肥満はそれだけで尿酸値が上昇する原因になります。食事療法として総カロリーを適正にもどし、体重を標準体重にコントロールしましょう。
●肥満の目安
BMI指数=体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)
※BMIの標準体重「18.5〜25」をめざして減量します。
4.心身のストレスがある人
毎日のように激しい運動をする人、ストレスがたまっている人は代謝異常により尿酸が排泄されにくくなる傾向があります。ストレスを一気に発散したいところですが、短時間にエネルギーの出し入れをすることも尿酸値を上げる原因になるため、デスクワークに集中したあとお酒を飲む、ゴルフの後にビールを飲むといった行動も発作を起こす危険性があるので要注意です。
「痛風」にならないためには?
<食事>
(1)摂取カロリーに注意して体重を管理すること
一日の総カロリー→標準体重1kgあたり25〜30kcalが目標
例)身長が170cmの人の場合;標準体重は63.6kgなので、1日の総カロリーを1600〜1900kcalにおさえる
(2)プリン体を多く含む食品を避けること
(3)水分を十分摂取すること
<アルコール>
とくにビールはプリン体を多く含む上、他の酒類より高エネルギーです。肥満を助長することになりますので、「痛風」の人は避けたいところ。いずれのお酒も上限を目安に節酒を心がけ、1週間に2日以上は禁酒の日をつくりましょう。
<適度な運動とストレス解消>
とくに肥満傾向にある人は、適度な運動で体を動かすことが大切です。食後1時間以降に、毎日継続してできるような軽い運動を行いましょう。軽く息が上がる程度の有酸素運動であれば尿酸値に影響せず、体脂肪の減少、軽度高血圧の改善、HDL(善玉)コレステロールの上昇、耐糖能の改善といった、高尿酸値血症に合併しやすい症状の改善にも役立ちます。もちろんストレス解消はお酒や過激なスポーツではなく、リラックスを前提とした方法で行いましょう。