爪水虫(つめみずむし)は、白癬菌(はくせんきん:いわゆる水虫菌)というカビの仲間が爪に感染することでおこる病気です。皮膚科を受診すると、患者さんの症状や状況に合わせて「のみ薬」や「ぬり薬」、場合によっては爪を削るなどの治療が行われます。治療は自己判断で中止せず、医師から指示があるまで続けましょう。
【動画】爪水虫の治し方(病院での治療)
この動画では、爪水虫の「病院での治療」について簡単に説明しています。さらに詳しく知りたい方は、下に読み進めてください。
治療方法は?
爪水虫の治療薬には「のみ薬」と「ぬり薬」があります。爪水虫の治療に関するガイドライン*では、治療の原則は「のみ薬」とされています1)。
病院やクリニックなどでは、爪水虫に対して抗真菌薬(こうしんきんやく)というお薬を使って治療します1)。抗真菌薬は爪水虫の原因となる白癬菌を殺したり、増えるのを抑えたりする作用があり、「のみ薬」と「ぬり薬」の2種類があります。爪水虫の治療方法などをまとめた「皮膚真菌症診療ガイドライン*」では、治療の原則は「のみ薬」とされており、個々のお薬ごとに、推奨度(すすめられる強さ)が異なります1) 。
のみ薬は有効成分が血液から爪に運ばれて、爪の内側から効果を発揮します。一方、ぬり薬は爪の表面にぬることで、有効成分が爪の中に浸透して効果を発揮します。どちらも爪の奥にいる白癬菌まで有効成分が届くようにつくられていますが、効果や副作用のあらわれ方、お薬を使う期間、治療費などがそれぞれ違うので、患者さんの症状や状況に合わせたお薬が処方されます。
*ガイドラインとは、いつでも誰でも最善の医療を受けることができるように、さまざまな研究結果をもとに標準的な診療や治療について学会や委員会などが作成した文書のことです。ガイドラインを参考にして、医師は治療の方針を決めていきます。
のみ薬で治療する場合
お薬を飲むと、有効成分が血液により爪まで運ばれて、皮膚や爪の内側から効果を発揮する。
ぬり薬で治療する場合
爪の表面にぬることで、有効成分や白癬菌のいる爪の中や爪床(爪の裏に接している皮膚)まで浸透し、効果を発揮する。
※治りにくい場合は、症状がある爪を削り取って治療することがあります。
治療中に注意することは?
自己判断で治療を中止せず、医師の指示があるまで治療を続けましょう。
爪水虫の治療は、新しい健康な爪に生え変わり、さらに白癬菌がいなくなった状態を「完治(かんち)」したと判断します。一見、爪がきれいになったように見えても、実は白癬菌が爪に残っている場合もあります。自己判断で治療を中止せず、医師の指示があるまで治療を続けましょう。
また、のみ薬やぬり薬を使用してから体調の変化や気になる症状があらわれた場合は、医師に相談してください。
治療後の日常生活で注意することは?
治療後も足や周囲の環境を清潔に保ち、再発を防ぎましょう。
爪水虫は完治しても周囲に白癬菌がいると再発してしまう可能性があります。再発させないためにも、足は指の間まで丁寧に洗う、温泉やジムなどの施設を利用した後は足を洗う、毎日靴を履き替えて乾燥させるといったことを心がけましょう。
- 1) 望月 隆ほか. 日皮会誌. 129(13); 2639-2673, 2019.