爪水虫(つめみずむし)は、爪の変色や変形などの症状がみられる感染症で、治療しないと他の爪や皮膚へと感染が広がっていきます。最初は爪の見た目の変化だけですが、悪化すると爪が徐々に厚くなり、変形するために痛みを感じることがあります。さらに、痛みで歩くことが難しくなる、転倒しやすくなるなど日常生活に支障をきたすこともあります1,2)。また、自分で爪を切ることが難しく、不便になることもあります。「爪水虫かもしれない」と思ったら、悪くなる前に皮膚科を受診して、適切な治療を受けましょう。
発症初期の症状は?
爪の一部分に「白色や黄色」に変色した部分がみられます。
爪水虫は、爪が「白色や黄色、黒色に濁る」、「厚く、ボロボロになる」といった症状がみられます。発症初期では、爪の一部分に「白色や黄色」に変色した部分があらわれ、だんだんと変色した部分が広がり、爪が厚くなっていきます。爪には神経がないため、初期の段階では「痛み」や「かゆみ」などの自覚症状を感じることはほとんどありません。
縦線上に爪が
黄白色に濁った例
爪の表面の一部が
白色に濁った例
爪の半分が
黄白色に濁った例
悪化すると、どんな症状があらわれる?
爪の変色や変形が進んでボロボロになったり、「痛みが出て歩きにくくなる」、「転倒しやすくなる」 など日常生活に支障をきたすことがあります1,2)。
爪水虫の症状が進むと、白色や黄色に変色した爪が「茶色や黒色」に変わり、厚くなった爪が脆(もろ)くなって「ボロボロと崩れ落ちる」、「爪の一部がはがれる」などの症状があらわれるようになります。また、1ヵ所だけであった爪の変化は、しだいに他の爪にも広がっていきます。重症になると、変形した爪が皮膚に食い込み、痛くて歩きにくくなる、転倒しやすくなるといった症状があらわれることがあります1,2)。
爪水虫が原因で、爪が濁り、
厚く、ボロボロになっている様子
爪水虫になりやすいのはどこの爪?
爪水虫は「足の親指の爪」になることが多いとされています1)。
爪水虫の多くは、足水虫をきちんと治療しなかったことで足から爪へうつるため、「足の爪」によくみられます。足の爪でも特に親指の爪になる方が多いとされていますが1)、親指以外の爪になる方もいます。また、まれにですが、「手の爪」になる方もいます。
症状があらわれる部位は、爪の先端だけ、根元だけなど、爪水虫の原因菌である白癬菌(はくせんきん:いわゆる水虫菌)の感染する経路の違いにより患者さんによってさまざまです。
- 1) 原田 敬之. Med Mycol J. 52(2); 77-95, 2011.
- 2) 加藤 豊範ほか. Prog Med. 40(4); 425-429, 2020.