ビダラビンの3つの抗ウイルス作用
ビダラビンは、3つの抗ウイルス作用により、
口唇ヘルペスの原因ウイルスである単純ヘルペスウイルスの増殖を抑制します。
1.ウイルスのDNA伸張を停止し、DNA複製を阻害する
ビダラビンは、宿主細胞の酵素である<チミジンキナーゼ>によってリン酸化され、<ビダラビン3リン酸>という活性型になります。
<ビダラビン3リン酸>は<デオキシアデノシン3リン酸>と構造が似ているため競合的に拮抗し、<DNAポリメラーゼ>の働きを抑制します。その結果、ウイルスのDNA伸張が阻害されます。 |
2.ウイルスDNAの材料であるヌクレオチド生成を抑制する
<ビダラビン3リン酸>は、<リボヌクレオチドレダクターゼ>という酵素のはたらきを阻害します。その結果、DNAの材料である4種類の<ヌクレオチド>が生成されず、ウイルスのDNA鎖の合成が阻害されます。
※<ビダラビン3リン酸>はウイルス由来の酵素と親和性が高いため、正常ヒト細胞にはほとんど影響しません。
3.ウイルスを形成するタンパク質の合成を阻害する
ウイルスの増殖に必要なタンパク質を合成するために必要なのが、Sアデノシル-L-ホモシステイン(SAH)水解酵素です。ビダラビンはこのSAH水解酵素の働きを阻害します。この作用により、ウイルスは自らの体の構成成分であるタンパク質を作り出せないので、結果として増殖できなくなります。
※2、3の作用はビダラビンのもつ特有の抗ウイルス作用といわれています。
出典:
白木公康 他、医薬ジャーナル、45(9)、119、(2009)
小野寺一清 他、抗ウイルス剤(学会出版センター)第2版、(1993)
大黒徹 他、日本臨床、65巻増刊号2、(2007)
Kamiyama T et al.,J Gen Virol.,Nov;82(Pt 11)2761、(2001)
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