ニュースリリース
令和元年9月
佐藤製薬と順天堂大学医学研究科の共同研究
佐藤製薬株式会社(本社:東京都港区、社長:佐藤誠一、以下佐藤製薬)は、順天堂大学医学研究科 生化学・細胞機能制御学(横溝岳彦教授)と皮膚機能と生理活性脂質に関する共同研究を進め、ω3脂肪酸であるエイコサペンタエン酸(EPA)の経口摂取により、アトピー性皮膚炎及び乾癬モデルマウスの病変部位における、ロイコトリエンB4をはじめとした炎症性脂質メディエーターの産生が抑制されることを見出しました。
本研究の成果は「Bioactive Lipids in Cancer, Inflammation and Related Diseases 16th International Conference」及び「Journal of Dermatological Science」誌において発表致しました(1)。アトピー性皮膚炎や乾癬は抗ヒスタミン薬抵抗性のかゆみを伴いますが、本研究においてEPAの摂取はマウスの引っ掻き行動に影響を与えなかったため、かゆみ抑制標的分子やメカニズムの探索研究を今後も継続して参ります。また、皮膚損傷時には生理活性脂質が創傷治癒の促進あるいは遅延に関与することが知られており、皮膚創傷治癒における生理活性脂質の機能に関する総説論文が「International Journal of Molecular Sciences」誌に掲載され(2)、Top Downloaded Papers of IJMS in 2020を受賞しました。
図:皮膚創傷治癒過程における生理活性脂質の機能
これらの皮膚機能と生理活性脂質に関する研究を継続し、研究成果の創薬への応用を検討する方針です。佐藤製薬は今後も患者様のQ O Lの向上に貢献できるよう独自性の高い製品の開発、提供に努めてまいります。
(1) Dietary supplementation of omega-3 fatty acid eicosapentaenoic acid does not ameliorate pruritus in murine models of atopic dermatitis and psoriasis, J Dermatol Sci. 2019 Sep;95(3):130-133.
(2) Eicosanoids in Skin Wound Healing, Int J Mol Sci. 2020 Nov 10;21(22):8435.